1.はじめに
今回は福島県の南西端にあり、尾瀬国立公園の玄関にあたる南会津郡檜枝岐村の湧水を尋ねました。
村の標高は900m以上で寒冷なため水田は無く、途中には青々としたソバ畑が広がっていました。村の産業は観光で、日本百名山の燧ケ岳と会津駒ケ岳の登山口であり、江戸時代から続く「檜枝岐歌舞伎」や山グルメの「裁ちそば」など魅力的な観光資源を意欲的に生かしている印象を受けました。
1.はじめに
今回は福島県の南西端にあり、尾瀬国立公園の玄関にあたる南会津郡檜枝岐村の湧水を尋ねました。
村の標高は900m以上で寒冷なため水田は無く、途中には青々としたソバ畑が広がっていました。村の産業は観光で、日本百名山の燧ケ岳と会津駒ケ岳の登山口であり、江戸時代から続く「檜枝岐歌舞伎」や山グルメの「裁ちそば」など魅力的な観光資源を意欲的に生かしている印象を受けました。
2.湧水への案内と湧水の状況
安宮清水は村の中心を流れる檜枝岐川の右岸にあり、裁ちそばで有名な「まる家」の看板を目標に川に沿って国道352号を上流に進みます。裁ちそばの看板がある三叉路を左折すると、細い道路ですが、すぐに対岸に渡る前川橋があり、渡り終えたら、左折して下流方向へ道なりに進みます。すぐに診療所が見え、落石防止のフェンスに安宮清水への標識があり、右折してすぐ安宮清水の東屋があります。道路わきには数台分の駐車スペースがあります。
3.湧水の水質について
湧水を採水して実施したイオン分析結果を基に作成したトリリニアダイヤグラムとヘキサダイヤグラムを示します。(図-3、図-4)
トリリニアダイヤグラム、ヘキサダイヤグラムともにⅠ型の普遍的な地下水の性質を示しています。
ヘキサダイヤグラムを構成するイオン等量濃度の数値自体が低いことから、イオン成分の溶け込みが少ないピュアーな地下水と言えそうです。
4.地質と湧出機構
湧水地周辺の地質図を図-5に示します。一帯は中生代ジュラ紀の堅固な地層から構成されていて、それらは日本列島が大陸の一部として存在していたときに海洋プレートが沈み込んでできた付加体です。地質図中の異地性岩塊とは海洋底に突き出ていた火山島や深海の堆積物です。それらは大陸近くの海底の砂・泥と混じり会い、複雑な構造をもつ付加体となっています。
湧水地は浅い谷地形の出口にあり、小さな扇状地の扇端部に当たりますが、約70ℓ/分以上の水量もあり、後背地の地形から考えると予想以上の水量です。多量の降雪が堅固なジュラ紀の地層の断裂系に浸透し、谷に集まって湧出したと考えられます。
5.おわりに
清冽な湧水に触れ、そこに棲むサンショウウオに会いたいと付近を捜しましたが、会うことはできませんでした。
しかし、ミニ尾瀬公園の売店で会うことができました。それはハコネサンショウウオの燻製が突き刺さった世界唯一のジェラートでした。