7月5日から8日にかけて、梅雨前線の活動による記録的な大雨が西日本を襲い、各地に甚大な被害をもたらしている。死者は210人を超え、家屋の損壊4万戸以上、停電・断水・交通網の断絶など、西日本各地で重大な災害に見舞われている。
気象庁は、6日午後5時に長崎、佐賀、福岡の3県で最初に大雨特別警報を発表。その後、8日にかけて計11府県で出された。過去に経験したことのない大雨であること、土砂災害の危険が差し迫っている、あるいはすでに発生していることを強調し、命を守る行動を直ちに取るよう繰り返し訴え続けた。
災害の実態が把握されるにつれ、災害をもたらした未曾有の豪雨の姿が明らかになり始めている。
福島県は1986年8.5水害、1998年8月の中通南部豪雨、2011年7月の会津南部の豪雨など、しばしば集中豪雨による災害に遭遇している。今回の西日本豪雨はさらに大規模な災害に見舞われる可能性が高まっていることの警鐘として受け止めなければならない。
西日本豪雨災害から必要な教訓を得て、次の災害に備えることは、業務上自然災害に向き合うものの共通の義務であろう。
1.はじめに
2.これまで経験したことのない災害の時代
7月5日から8日にかけて、梅雨前線の活動による記録的な大雨が西日本を襲い、各地に甚大な被害をもたらしている。死者は210人を超え、家屋の損壊4万戸以上、停電・断水・交通網の断絶など、西日本各地で重大な災害に見舞われている。
気象庁は、6日午後5時に長崎、佐賀、福岡の3県で最初に大雨特別警報を発表。その後、8日にかけて計11府県で出された。過去に経験したことのない大雨であること、土砂災害の危険が差し迫っている、あるいはすでに発生していることを強調し、命を守る行動を直ちに取るよう繰り返し訴え続けた。
災害の実態が把握されるにつれ、災害をもたらした未曾有の豪雨の姿が明らかになり始めている。
福島県は1986年8.5水害、1998年8月の中通南部豪雨、2011年7月の会津南部の豪雨など、しばしば集中豪雨による災害に遭遇している。今回の西日本豪雨はさらに大規模な災害に見舞われる可能性が高まっていることの警鐘として受け止めなければならない。
西日本豪雨災害から必要な教訓を得て、次の災害に備えることは、業務上自然災害に向き合うものの共通の義務であろう。
3.先ずソフト面で対策が必要
報道によれば、災害死亡者が多数出た要因として、気象庁の大雨特別警報・土砂災害特別警戒警報の発令と、市町村の避難指示・命令の伝達がスムーズではなかったこと、ハザードマップは作られたが、住民と共有されず、避難経路も示されていなかったことなどにより逃げ遅れたことが挙げられている。
気象災害多発の異常事態に、ハード面の防災対策が追いつくには相当の時間が必要という現状の中で、災害からいかにうまく逃げるか、というソフト面での対応が非常に重要である。
4.県内関係者から成る調査団の編成と派遣の提案
この為に先ずなすべきことは、実際に役立つハザードマップの整備である。すでに県内3つの活火山についてのハザードマップは整備され、阿武隈川に関する浸水被害のハザードマップは公開されている。国交省では土砂災害と土石流危険渓流のマップを公開しているが、福島県については非常に粗いもので、実用性には問題がある。また、様々な種類のハザードマップはあっても相関性が取れていない。避難経路や避難所が示されている場合も、その場所や経路が安全であるという検証も不十分であるように思われる。
西日本豪雨災害をよそ事としてはならない。明日は東日本・東北の豪雨災害が発生すると覚悟し、必要な教訓を引き出し、対策に生かさなければならない。特に福島県は深成岩の風化物である「マサ土」斜面が広く分布する点で、中国地方と共通しており、「マサ土」斜面と災害の関係の知見を得ることは重要と考える。
このためには、行政関係団体、大学などの研究機関、関係技術団体など、県内で防災に係る団体や個人が意見交換を行なう場の設定が重要である。
その手始めとして、仮称「西日本豪雨災害調査団」を編成し、共同で現地調査を行って経験を交流し、成果発表会を企画することを提案したい。様々な立場の団体や個人が現地調査を検討している段階と思われる。異なる立場の人が異なる時期に異なる場所を視察・調査しても、まとまった形でその教訓を福島に生かすことは困難である。
中国地方の「マサ土」斜面の災害の実態調査を共通目標とする調査団の編成と派遣は、必ず次の災害時に役に立つと確信する。最初から各分野を網羅した調査団の編成は、困難と思われる。いずれかの関係団体が手を挙げ、それに賛同できる団体・個人が参加するという形が現実的かもしれない。志のあるところがまず行動し、多くの関係者が後に続いてくれることを期待するものである。