1.はじめに
首がゆらゆらと可愛らしく揺れる「赤べこ」は福島県を代表する郷土玩具です。この「赤べこ」の発祥は奥会津の玄関口である柳津町と言われています。
これは七日堂裸詣りで有名な福満虚空蔵尊圓蔵寺(ふくまんこくぞうそんえんぞうじ)の虚空蔵堂建立の際、資材運搬に大活躍した赤毛の牛(東北地方では牛をべこと呼びます)の伝説に由来するそうです。
今回は「赤べこ」と同じく福満虚空蔵尊圓蔵寺と縁が深い、弘法大師の残した柳津町の「大清水」(弘法清水)を訪ねました。(写真-1、写真-2)。
1.はじめに
首がゆらゆらと可愛らしく揺れる「赤べこ」は福島県を代表する郷土玩具です。この「赤べこ」の発祥は奥会津の玄関口である柳津町と言われています。
これは七日堂裸詣りで有名な福満虚空蔵尊圓蔵寺(ふくまんこくぞうそんえんぞうじ)の虚空蔵堂建立の際、資材運搬に大活躍した赤毛の牛(東北地方では牛をべこと呼びます)の伝説に由来するそうです。
今回は「赤べこ」と同じく福満虚空蔵尊圓蔵寺と縁が深い、弘法大師の残した柳津町の「大清水」(弘法清水)を訪ねました。(写真-1、写真-2)。
2.位置について
磐越自動車道会津坂下インターを降りたらそのまま直進し国道252号を柳津方面へと向かいます。会津柳津駅・福満虚空蔵尊への経路案内標識(青い道案内の標識)が見えたら、「赤べこ」のお出迎えで分岐を左に進みます。会津柳津駅から福満虚空蔵尊の前を通り、商店街を抜けると銀山川を渡る橋の袂に湧水の案内看板が見えます。
3.湧水の水質について
湧水を採水して実施したイオン分析結果を基に作成したトリリニアダイヤグラムとヘキサダイヤグラムを示します(図-2、図-3)。
トリリニアダイヤグラムでは、ほぼ中央にプロットされました。付近に温泉も多く、温泉水の影響が強い地下水と言えそうです。ヘキサダイヤグラムではナトリウム+カリウムの割合が多く、古い時代の海水の混入も予想されます。
4.地質と湧出機構
湧水周辺部の地質分布図を示します(図-4)。
湧水箇所周辺部では、主に堆積岩が分布しており、背斜構造(地層が堆積後に圧縮され波型に盛り上がる)のため、東〜南東に傾斜した地層構造を示します。
湧水箇所は塩坪層と藤峠層の一部で粗粒砂岩が発達した部層との境界部付近に位置するようです。粗粒砂岩との地層境界部は地下水が流れやすく、銀山川の川岸でこの境界部が露頭する場所に豊富な湧水が形成されたと考えられます。
(現在は堤防嵩上げ工事のため、堤防下に湧水が有ります。このため、湧水をポンプで汲み上げて利用しています)。
今も息づく「弘法大師」の伝説
弘法大師は日本全国で様々な伝説・伝承が伝えられている人物です。圓蔵寺の御本尊である福満虚空蔵菩薩様も弘法大師の作と伝えられています。
御本尊を作成するためこの地を訪れた際、地元の人々からあがめられた弘法大師が人々に恵みを与えようと錫杖で岩場をひと突きすると冷たい清水があふれ出たと云われています。これが「大清水」(弘法清水)として、現在も地元の人々に大切に利用されています。旱魃や地震などの災害時でも湧水は枯れることはないそうです。
案内板には甘露の恵みと書かれていました。興味をひかれ私も一口飲んでみました。文章にするのがなかなか難しいのですが、甘く、まろやかな口当たりのする湧水でした。
皆さんも弘法大師の恵みの甘露である「大清水」を味わってみてください。かわいい「赤べこ」にも会える奥会津の玄関口─柳津町に足を運んでみてはいかがでしょうか。
奥会津の春はこれからです。