NHKの番組、Fマップおよびはまなかあいづにて 弊社 谷藤允彦※が特集で放送されました。今年6月21日、27日その後再放送も何度か放送されました。元気でプロフェッショナルなおじいちゃんという意味合いなのかポジぃちゃん図鑑の「モグラを超えた男」として紹介されました。取材・放送が直前だったため、偶然ご覧になった方はラッキー、見逃された方が大多数と思いますが、ご覧になりたい場合は新協地水までホームページよりお問い合わせ下さい。
また、NHK福島版のホームページより、放送時の写真や内容がチェックできます。
ぜひご覧ください。
1・きっかけと経過
5月中旬に、NHK福島放送局のディレクターの方から電話があった。「ここに福あり f MAP」の番組で、#ふくしま“宝の穴”めぐり という企画がある、ついては福島の地下の宝物について話を聞きたい、というものであった。
同じような取材申し込みを㈱北日本ボーリングと㈱福島地下開発にもしていたようであった。両社から「そうした情報は新協地水が多く持っている」と推薦された、という話であった。
最初の打ち合わせでは、福島の地下にある宝物とそれを取り出す深井戸掘削などの技術に関して取材し、映像化しよう、という趣旨のようであった。
福島には石炭・金属鉱床・石灰岩・石材・砕石などの多くの地下資源があること、再生可能地下資源としての地下水・温泉・地熱-地中熱も非常に恵まれていることから「福島の宝」として報道してもらえれば、福島の復興に役立てられると考え、協力することになった。
2・取材対象が宝から人に変わった
打ち合わせを進める中で、地下資源を採掘している現場は、国際化の波に飲み込まれ、ほとんど稼働していないことが判明した。また、地下水・温泉・地中熱は地下にあるため、肉眼で見たり、映像化したりすることが難しいという問題が明らかになった。
こうした経過を経て、担当ディレクターからは明確な表明はされなかったが、途中から「谷藤」という対象を通して、福島の宝に迫ろう、という方向にかじを切ったようである。
会社の執務室や地中熱研究棟での取材、インタビューのほか、三島町の宮下温泉掘削現場、葛尾村に帰還し賠償井戸のおかげで生業を再開された丹伊田さんを訪ねる様子などを撮影し、最後は私の自宅で、家内を含めたインタビューを受けることになった。当初は、福島の地下にある宝物の紹介がメインのはずであったが、出来上がった映像は私にスポットが当たったものになっていて、戸惑いを感じている。
3・反響が大きかった
6月21日(金)午後7時30分からの「ここに福あり f MAP」ふくしま“宝の穴めぐり”の後半部分で8分程度放映された。また翌週6月27日(木)午後6時過ぎの“はまなかあいづTODAY”の最後の部分で“モグラを超えた”地下のスペシャリストと題して放映された。それぞれ再放送もあったようである。
会社では放送日時を社員などには知らせていたが、私はほとんど誰にも知らせていなかったので、かなりの方からお叱りを受けることになった。どのように取り上げられるのかわからないので恥ずかしいという気持ちと、多くの人の関心を引くこともないだろうという思いであった。
放映後、隣近所や関係団体の方々、妻の関係者などから思いがけないほど、多くの反響が寄せられ、驚き恐縮している。NHKの持つ情報発信力とマスコミに取り上げられることの持つ意味を考えさせられた。
4・取材を受けての感想
①地下にかかわる仕事は生活・産業・防災など客観的には非常に重要であるにもかかわらず、地味で日の当たらないマイナーな社会的評価になっている。その理由は、社会の無知と無理解にある、と思い込もうとしていた。
②取材を受け、福島の地下の宝物の話をしようとした時、私が準備できたのは地質図と鉱山の一覧表くらいのものであった。一般の人たちが地質図から過去の出来事を読み取り、未来を想像することはできない。物語を組み立て、だれでも理解できるように説明するのは私たちの役割である。
③日本列島は地震や火山活動の活発な時代に入っている、また地球温暖化による気象災害の大規模化多発化が進んでいるといわれる。私たちに期待される役割は非常に大きくなっている。役割を果たすためには、どうしたら素人にもわかってもらえるか、を真剣に考えなければならない。
④50年以上の私の地下生活の中で、かかわりあった多くの課題に対して、関係者誰にでもわかってもらえる努力をしてきただろうか。仕事の一つ一つの局面で、わかりやすい絵や写真、立体模型、動画やCGなど説明の道具を少しずつでも準備していたら、「福島の地下の宝物」についてたくさんの情報を提供できたのではないか。
⑤私たちは今、「地中熱利用の効果と重要性」を行政や建設関係者が理解してくれない、防災対策上の地盤情報の整理と整備の必要性を行政機関が理解してくれない、と嘆いている。嘆きからは何も生まれない。自らの知恵と努力で、わかってもらえるための作業を息長く続ける以外にない。NHKの取材を受けて、私の50年の地下生活の中で足りなかったものを発見させられ、生きている間に少しでも取り返さなければならないと思う次第である。