1.はじめに
福島県はお米が美味しいことでも有名ですね(私が福島に来た頃、炊飯器で炊いたご飯と水道水が美味しいことに感動していました)。
高速道路を新潟方面に車を走らせ、会津盆地に入ると一面の田園地帯が目に映ります。美味しいお米の産地です。
今回はこの田園地帯の北部地域に浮かぶ水の社「廣瀬神社」と境内に湧出する「目薬沼」の湧水を訪ねました(写真-1、写真-2)。
1.はじめに
福島県はお米が美味しいことでも有名ですね(私が福島に来た頃、炊飯器で炊いたご飯と水道水が美味しいことに感動していました)。
高速道路を新潟方面に車を走らせ、会津盆地に入ると一面の田園地帯が目に映ります。美味しいお米の産地です。
今回はこの田園地帯の北部地域に浮かぶ水の社「廣瀬神社」と境内に湧出する「目薬沼」の湧水を訪ねました(写真-1、写真-2)。
2.位置について
磐越自動車道の新鶴スマートインターチェンジを降りて坂下町の市街地に入ります。
国道49号とのT字路を左折すると、間もなく県道21号(喜多方街道)の入り口に着きますので右折し北上しましょう。
県道127号(会津坂下塩川線)との交差点を右折すると約2.0㎞で右側に木々で囲まれた社が見えてきます。
神社は水量が豊富で透明度の高い大小複数の池に囲まれており、神秘的な雰囲気に包まれています。
目薬沼は湧水が形成する小さな池であり、小屋により保護されていました。ポンプは稼働していませんが、近くで湧水に触れることができます。
湧き出す水の動きを観察することができ、オーバーフロー量からは毎分15.0L程度の湧出量が推定されます。
3.湧水の水質について
湧水を採水して実施したイオン分析結果を基に作成したトリリニアダイヤグラムとヘキサダイヤグラムを示します(図-2、図-3)。
トリリニアダイヤグラムでは、領域Ⅰにプロットされました。一般的な地下水の性質を示していますが、ヘキサダイヤグラムからは炭酸水素イオンのイオン等量濃度がやや高いと感じられます。
4.地質と湧出機構
湧水周辺部の地質分布図を示します(図-4)。
地質図から、廣瀬神社の周辺部は広範にわたり礫・砂および泥の未固結堆積物が分布しており、地下水が豊富な印象を受けます。
一方、平野部に湧出することから、地中の比較的深い所に存在する被圧された地下水が偶然形成された水みちを通じて自噴し、目薬沼の湧水池を形成しているのではと考えます。
湧水の風情を直接感じることができるのは目薬沼のみでしたが、大小の沼(実際は綺麗な池です)が存在することから、複数の湧水が存在し、神社を囲む豊かな水の風景を形成していると想像できます。
5.水のある景色に思いを馳せる
会津盆地は地下水に恵まれた地域です。現在でも地下水の利用が生活と密接に関わっています。
境内の看板には目薬沼を含む大小の池は「神沼」と称され、地域の養水(注:生活用水・灌漑用水として地域を養う水の意味でしょうか)として利用され、地方開発の水利の神として祀られてきたと書かれていました。
また、目薬沼の湧水は眼の病に効能があると言われていたとの事です。
地元の人達に古くから利用され、眼にゴミが入った時などには湧き出る清水で洗浄したことに由来する名前なのかしらと、湧水の前で先人の営みに思いを馳せたひとときでした。
田園に浮かぶ水の社‐四季の移ろいのなか、それぞれの情景を見たくなる、そんな空間がそこにありました。