麓山(標高897.1m)は阿武隈高地中部、旧岩代町と旧東和町(どちらも現在の二本松市)の境界を成す独立峰です。阿武隈高地は地質的には主に花崗岩,花崗閃緑岩からなり、隆起準平原的地形を形成しています。平均高度500mほどの高原上のあちらこちらにピラミッド状の残丘として山々が突出しており、麓山もその一つで円錐形をした独立峰の頂からは素晴らしい展望を得ることが出来ます。山名の由来となった麓山は、「奥羽地方に多く見られる「はやま」信仰につながるもので、麓山・葉山・瑞山・羽山などの字があてられ、本山(奥山)に対する瑞山という意味のほかに、この世とあの世の「端」という意味もあったと伝えられており、麓山も昔から信仰の山でした。その名残として今でも羽山神社例大祭として山開きが開催され、安全祈願や奉納厄除け餅まきが行われています。麓山は以前弊社「土と水」(第73号)の山紀行で紹介した花塚山が2017年1月に「富士山が見える北限の山」として認定されるまでは、北限として認定された山でした。さらに福島県に31箇所ある1等三角点が山頂に設置されている山として知られています。測量する都合上、見晴らしの良い山ということだったのでしょう。
大好きな阿武隈高地の山々には、1年を通して登っています。40歳から始めた登山で、蓬田岳156回、宇津峰山105回、大滝根山59回と比べると麓山は極端に少なく、今まで5回しか登っていません。最初の2回(09年1月4日および12年4月22日)とも、見通しが悪く期待していた展望が得られなかったことに加え、山頂まで車が乗り入れできることに登山意欲が掻き立てられなかったのでしょう。それが1年ほど前に始めた登山を目的としたSNSで麓山に対する関心が大きく変わりました。掲載されている山頂からの展望そして登っている人たちの感想に見事に心を撃ち抜かれてしまいました。眺望を自分自身で実感するため、今年1月26日に3度目の登山で快晴の頂に立った時、展望の雄大さに感動しました。今回は、この感動を土と水の読者の皆様に伝えるべく、松比羅神社(北口登山道)を起点に羽山神社(南口登山道)から山頂を踏み、松比羅神社(北口登山道)へ下山をする周遊コースを紹介します。なお、下見となる4度目の登山は二日前の2月8日に行いました。