1.磐梯山登山と弘法清水
磐梯山(1816.2m)は福島県を代表する名山で、会津磐梯山の名前で全国的な知名度が高い。標高からすると磐梯山より高い山は福島県内には多数あるが、知名度の点では磐梯山がダントツである。その理由は、コニーデ型成層火山の優美な姿が、会津盆地だけではなく、中通り南部の各地から望むことができるという山の美しさだけでなく、1888年の小磐梯山の山体崩壊による大災害や、裏磐梯湖沼群の誕生にまつわる生々しい歴史が記憶に残されていることにもよると思われる。
磐梯山に登るには、(1)八方台登山口コース、(2)裏磐梯登山口コース、(3)表登山口(猪苗代登山口)・青年の家コース、(4)翁島登山口コース、(5)渋谷登山口コース、(6)川上登山口・川上温泉コースの6つがある。(各コースの分岐ルートを数えると10以上になると思われる)
手軽な登山先として人気の磐梯山であるが、その大部分の登山道(6コースの内4コース)は山頂の北にある弘法清水で合流している。
弘法清水は、標高1630m付近にあり、1888年の爆裂火口壁の南側に接した緩傾斜地に湧出している。すぐそばには、弘法清水小屋の売店・軽食堂があり、西・北・東の眺望も抜群であることから、山頂への急登に備えて一服する休憩所として、多くの登山者が集まる場所になっている。