今回は、福島県の中心からおよそ北東に位置する双葉郡葛尾村をご紹介します。福島県に長らく住んでおりますが、初めての訪問です。最近は、日本テレビ系で放送中の番組、「鉄腕DASH」でTOKIOを中心とした方々が荒地を水田にしようと取り組んでいることで話題です。震災以降、新協地水は葛尾村とは様々なご縁を頂き、この度、葛尾村に相双営業所を開設しました。相双営業所に関しては、先述で存分に説明があったかと思いますので、私はプライベートで楽しめるスポットを紹介します。
★かつらおヤギ広場がらがらどん
2021年5月にオープンしたばかりのヤギの牧場です。がらがらどんってなんだろうと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、福音館書店で1965年に初版されたノルウェーの昔話で、マーシャ・ブラウン(イラスト)、せた ていじ(翻訳)の絵本です。内容はぜひお手に取ってみてください。
今回は、かつらおヤギ広場がらがらどん代表のかつらおファーム鎌田さんにお話しを伺い、広場内を案内して頂きました。東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故による全村避難となった葛尾村。その後、村は除染を行い、帰村可能となり、400名程の村民が葛尾村で暮らしています。その一方で、県内外に避難している村民も多いのが現状です。鎌田さんを含めた発起人のメンバーでなにか葛尾村で人々が集まるような場を作れないかと考えました。その中で鎌田さんらはヤギに惹かれたそうです。ヤギ専用の牧場は県内で初めてだそうです。震災前まで畜産業をされていた鎌田さんを中心に、牧場の敷地の開墾から生育の勉強や情報収集、研究に奮闘され、今年5月にオープンの運びとなりました。
葛尾村を取材して感じましたが、暮らしているみなさんひとりひとりが自分たちで葛尾村を良くしたい、盛り上げたい、支えていきたいという熱意で満ち満ちています。インターンで訪れている学生さんも多く見られ、研究・学園都市のようでした。ヤギは傾斜地の除草目的等でレンタルも行っているそうです。ヤギとふれあえる場は珍しく、お子さんからご年配の方まで楽しめます。ぜひご家族で遊びにいらしてください。
★せせらぎ荘
葛尾村宿泊交流館「みどりの里 せせらぎ荘」は村内唯一の宿泊・入浴施設です。大浴場は五十人山の地下水を利用しているそうで、宿泊だけでなく日帰り入浴も行っており、葛尾村民の方の日帰り入浴は無料です。 村民以外の方も大人300円で一日ゆっくり過ごすことができます。素泊まり大人3500円で、体の不自由な方にも安心のバリアフリーのお部屋もあります。館内には会議室もあり、集会にも便利です。
★摩崖仏
葛尾村指定史跡に指定されている摩崖仏。摩崖仏とは、石仏の一種で、自然の岩壁や露岩、あるいは転石に造立された仏像です。江戸中期の1709年に葛尾大尽と呼ばれた松本一族の二代目当主、三九郎重共の代に建立されたと言われています。実際に訪れた時は、写真で見るよりかなり圧倒されます。高さ数メートルの大岩に、文殊菩薩・大日如来・阿弥陀如来・聖観音菩薩・地蔵菩薩・不動明王・虚空蔵菩薩と七体の仏が刻まれています。
◉番外編
葛尾村のおとなり、田村市都路にも巨石があります。偶然立ち寄ったコンビニエンスストアに掲示してあった観光マップに、田村市都路町に巨石群があると載っており、石・岩好きの私は衝動を抑えきれず向かいました。国道288号を船引方面に向かい、強梨の集落に向かいます。(その道中はどこか懐かしいような風景に出会えます)
1箇所目は古代亀石です。
比較対象がなく分かりにくいですが、10.7mの高さがあります言葉が悪いですが、予想より「すんげぇでっけー(すごい大きい)」思わず声に出していました。さらにその巨石の下のあたりから水が流れていて、小さな滝となっています。巨石とせせらぎとの組み合わせがなんともギャップ萌えです。
つづいて、亀石から車で5分程度のところに船石という巨石があります。ここ最近で珍?新スポットをリニューアルしたのか、手造りらしき木道の入り口になんともポップな看板が見えてきました。
パワースポット・・・なんですね。あらラッキー・・・船石はまさしく船のような形で苔むしていて、なんとも幻想的。もののけ姫に登場しそうな雰囲気です。長さ11m、幅4.5mで船ならけっこうな人数を運べそうです。巨石は自分が異空間に迷い込んだようでリフレッシュします。
★石井食堂
葛尾村に行くと言うと、同僚から「石井食堂でチャーハン食べてきなよ」と。平日の昼時は混雑するとの情報でしたので、早めの昼食で訪問しました。ご家族で切り盛りされていて、アットホームな店内。同行した案内役の営業担当はチャーハン、私は量に怖気づいて焼肉定食を注文。程なく提供されると、チャーハン何人前?の量に圧倒されました。焼肉定食もなかなかの量でしたが、自分のキャパを考えてじっくりメニューを吟味しただけあって、完食しました。デザートにメロン付き。食べきれないときは持ち帰り用のパックを頂けますので、安心して注文できます。
★葛尾村復興交流館あぜりあ
2018年6月にオープンした村民の交流や休憩、放射能検査室を兼ね備えた施設です。施設名称を募集したところ、村の花であるツツジを英訳した「あぜりあ」となったとのことです。売店スペースには、葛尾村特産の凍み餅や金泉ニットさんのニット製品、工芸品等が並んでいます。また、お子様が集まって遊べる広場的なスペースが屋内外にあり、壁には葛尾の子供たちが作った作品展も常設しています。今回は運営されている一般社団法人葛尾むらづくり公社 事務局次長の黒田さんにお話を伺いました。
あぜりあはモダンな外観で、内部も柱を使わない工法とのことでとても広々としています。角度大き目のL字のような形をしており、天井には古い梁が使われています。黒田さんによると昔、葛尾大尽と呼ばれた松本三九郎一族という大金持ちがいたそうで、江戸時代から200年にわたって製鉄業や生糸・木炭の生産、両替商などで巨大な富を築いたそうです。そのお屋敷に使われていた木材をあぜりあにも使用したとのことでした。
外の敷地内には、EVステーション、震災の翌年に制作された葛尾川という曲の歌碑(近づくと歌が流れます)、日大工学部が開発したロハスの花壇、少人数の集まりや音楽などの練習、展示会、シアターなどに利用できる蔵(有料)があり、天気の良い日は写真撮影にも絶好なロケーションです。
★カフェ嵐が丘
県道50号を葛尾村役場の方に向かうと、カフェの幟(のぼり)が目に留まります。看板にカフェ嵐が丘とあり、矢印通りに坂道へ車を走らせると、洋風の建物が見えてきます。カフェ嵐が丘はご自宅兼店舗でご夫婦で営まれているお店です。水曜〜土曜日の11時30分〜夕方17時の時間で、現在はご予約のお客様のみの営業となっています。
わたしも前日に予約させていただき、ランチとデザートをいただきました。
この日はキーマカレーのセットです。(日によって変わります)サラダ・前菜など野菜がたくさん。体にうれしいメニューです。ランチはコーヒー付で1200円、デザートはランチにつけると250円です。この日は桃のジュレのレアチーズケーキ。さっぱりしていて美味しかったです。インテリアと食器は欧風で、おしゃれです。コーヒーはお好みのカップを選べます。