登山を始めた頃は、梅雨が明けると爽やかな夏山シーズンが到来していた。例年、東北南部では7月下旬に梅雨が明け、以降快晴の日が続き天候が安定する。この時期を「梅雨明け十日」と呼び、夏山シーズンが幕を開ける。最近では地球温暖化の影響なのか、梅雨明けがはっきりしない年が多く、真夏の8月でも雨の日が多くなってきたように感じている。特に、休日に雨が降る。あの「梅雨明け十日」は、どこに行ってしまったのだろうか。
福島県の山々の特徴は、おっとりとした山容そして火山活動によって造られた、荒涼とした風景にある。夏山は色とりどりの高山植物が美しさを競い合い、多くの登山者を魅了している。以前の山は涼やかで爽やかだった。最近の山は暑い、多量の汗をかきながらの山登りとなる。それでも苦労して登った頂から望む風景は格別で、大きな達成感と感動を与えてくれる。そして、8月下旬には夏の湿った暖かい空気から秋の凛とした澄み切った空気に入れ替わり、風景が澄んで彩鮮やかとなる。この頃になると、紅葉が始まる秋山への期待感とワクワクして待っていた夏山が一瞬で終ってしまうことへの喪失感を同時に味わう。登山者にとって夏山シーズンは、案外短い。
2022年の東北南部の梅雨入りは、6月15日だった。その2週間後の29日には、気象庁が「梅雨明け」を宣言した。6月の猛暑、早すぎる梅雨明けなど、今年の夏は「何か変だよな」「いつもと違うな」と感じている。気象の専門家は「早い梅雨明けは地球温暖化の影響があるだろう」と指摘をした。そして7月から8月にかけて、線状降水帯が各地で発達し豪雨による災害が多発をした。山の自然は地球温暖化の影響を受けやすい。地球環境を守るため、ゼロ・カーボンに本気で取組まなければならないと、山好きとしては痛感をしている。
今回は、7月18日㈪の安達太良山と7月24日㈰田代山・帝釈山への山行を紹介します。