福島県を代表する火山の吾妻山は、約120万年前から活動をしている。
西吾妻から吾妻小富士までの東西10km、南北12kmの広大な火山で、一部山形県にも位置している。
過去1万年以内は一切経山と吾妻小富士周辺から噴火をしている。春先には、吾妻小富士には雪うさぎの残雪を見ることができる(写真-1)。次に噴火をする可能性が最も高いのは、現在時々噴気を上げている大穴火口周辺である。
明治の中期、1888(明治21)年に磐梯山が噴火し477人の犠牲者を出した。その5年後の1893(明治26)年に吾妻山が噴火し火山の研究者が噴石に当たり
2人亡くなり(図-1)、その慰霊碑が登山道の近くにある。1900(明治33)年に安達太良山が噴火をし、沼ノ平の硫黄工場で働いていた従業員約80人が犠牲となった。このように3つの火山が明治の中期に続けて噴火をし、すべての火山で犠牲者を出した。
その後、吾妻山は1950年代、1970年代にも小規模な噴火を繰り返し発生させているが、昭和の噴火では犠牲者が出ていないので、多くの福島市民は吾妻山に恐れを感じていない。しかし、福島県で最も活動的な火山が実は吾妻山なのである。
高度経済成長期に、福島県では観光に力を入れていった。そこで開発されたのが山岳観光道路である。その最初が福島市から吾妻山を通って猪苗代町に抜ける全長28.7kmの磐梯吾妻スカイラインである。1959年11月に開通し、日本の道100選にも選ばれている。