夏山の魅力は、快晴の空に映える彩鮮やかな高山植物の美しさ、そしてひたすら暑さに耐え、汗まみれで登った山頂から観る雄大な展望だ。市街地と違って頂には、やさしく涼やかな風が吹き、ここにいるだけで大きな達成感が味わえる。ずーっと風景に見入っていても寒さを感じずにゆったりした気持ちでいられるのも夏山の魅力の一つだ。そんな夏山が大好きで福島県内の1500m級の高山には、この時期に登ることが多い。
ここ数年『地球温暖化の影響』が夏山シーズンに大きく影響しているように感じる。登山を始めた頃購入した25年前のガイドブック(1998年6月発行)を久しぶりに開いてみるとすでに『地球温暖化』を予兆したコラムが掲載されていた。『梅雨が明ける7月下旬は最も天候が安定する時期だが、近年は異常気象が多く、梅雨明け10日と言われる晴天が続かなかったりするので、あまりあてにできない』と注意を促していた。さらに今年になって気象の専門家は『地球温暖化の進行は疑いの余地がなく、日本における台風の災害の危険性が年々増加をしている。温暖化に伴い気温の上昇と共に大気中に含まれる水蒸気が増加する。それに伴う激しい積乱雲や豪雨、そして強い台風が増加する』と警告している。2023年の梅雨明けは、東北南部で7月24日だった。数日間は晴れが続いたが、8月8日南鳥島近海で発達中の熱帯低気圧が台風7号になった。その後台風は発達しながら北上、近畿地方を縦断し、お盆期間中の日本列島に大きな影響を及ぼした。
8月11日〜20日まで10日間の連休を取得、後半は久しぶりに山三昧の計画を立てた。日々の天気予報は『晴のち雷雨』市街地が晴れていても、登山口が『土砂降りで雷』の日もあった。結局この間、高い山へ登ることはあきらめて湿原と低山中心の夏山山行とすることにした。この期間2度訪れた雄国沼は、厳冬期を除き何度も訪れている。今回の山紀行を書くに当たり、『雄国沼の成因と開拓史』について詳しい情報をWEBで調べてみた。結果、わかりやすくまとめられた『雄国沼 明るく開かれたカルデラ湖』と題された報文を発見、熟読してみてびっくり。弊社『土と水』49号(2007年1月発行)の『福島県の湧水シリーズ』に掲載されていた内容だった。読者の皆様にも参考にしていただきたく、あらためて掲載する。