1.令和5年度実績値一次エネルギー削減量102.2%
2020年(令和2年)11月に新協地水㈱は『ZEB』の社屋に移転しました。設計値は基準値に対して一次エネルギー削減量が103.8.%です。ZEBは、建物を建てるときに基準となる値に対するエネルギー削減量の設計値で評価します。当社のZEBは100%以上の削減の『ZEB』として認証されていますが(3種類あります。図-2を参照ください。)、令和5年度は実際のエネルギー削減量でも102.2%と、100%以上の削減となりました。
2.ZEB実績値の報告
ZEB社屋建設の動機や令和5年度のエネルギー削減量が100%以上の削減となるまでの、苦労した点などをQ&A形式で示します。
ZEBとは何ですか?
ネット・ゼロ・エネルギー・ビルのことで、快適性を保ちながら、エネルギーの消費量を実質ゼロ以下とした建物です。省エネと創エネ(太陽光などによる発電)を合わせたエネルギー消費量の削減率によって、ゼロ以下の削減の他にZEBの段階があります(図-2)。
ZEBにすることでどのようなメリットがありますか?
室内の温度差が少なく快適でありながら、エネルギー消費量を抑えることによって温室効果ガスの二酸化炭素の排出量を抑えることにつながり、日々の光熱費も安くなります。
誰でもいつでも建物をZEBにできますか?
ZEBは事務所などの建物であり、個人の住宅に対しては、ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)があります。専門の業者によって、ZEBやZEHは誰でもいつでもどこでも建てることができます。
ZEBに必要な点は何ですか?
省エネで50%以上のエネルギー消費量削減が必要です。当社のZEB社屋で利用している地中熱(当社は空調に使用)は、省エネの有力な手段です。また、創エネ(発電)が必要となります。
なぜZEBが必要となりますか?
エネルギー消費や二酸化炭素の排出の抑制のため必要となります。
どうして新協地水㈱は社屋をZEBにしたのですか?
ZEBの現社屋建設を計画していた時は、地中熱利用に関する試験業務や地中熱利用の実証実験を行っていた時期であり、社屋にも地中熱を導入したかったのですが、検討過程で社屋の断熱や太陽光発電を導入すればZEBになると考えた結果、100%以上削減の『ZEB』となりました。
ZEBの社屋に移転して3年が経過しましたが、新しい発見はありましたか?
ZEBそのものや地中熱利用の空調が快適であることを体感でき、CO2削減や光熱費削減も実際の結果によって実感できました。
ZEBに関連して苦労されたことはどんなところでしょうか?
ZEB社屋のエネルギー消費量などのデータ管理はすべてが初めてであり、当初は取りまとめ方やその結果を社内外に分かりやすく示すことが手探りであり、苦労しました。
ZEBの社屋で仕事をする社員の反応はどうですか?
当初は、社員はZEBや地中熱空調の快適さについても半信半疑でした。夏季や厳冬期などを経て室内の快適さが体感でき、また、二酸化炭素の排出削減などの目的に向けた室内での使い方の理解が全社で深まってきました。
今後の展望がありましたらお願いします。
1年だけでなく、今後も100%以上の削減の実績値となるようにしていきたいと考えています。
また、ZEB社屋は当初からこれまでに600名程の施設の視察見学を受け入れていますので、受け入れを継続していきます。是非とも当社社屋にお越しください。地中熱関連の事業も広く行っていきます。
3.回転杭工法を用いた地中熱利用の実証試験結果
当社では福島県の補助事業を活用して回転杭工法を用いた地中熱利用の実証実験を行いました。2022年度~2024年度には地中熱利用の計画から、地中熱交換器埋設、運用、地中熱交換器の撤去までの一連の工程を実証しました。回転杭工法を用いた地中熱利用では、地中熱交換器埋設時に低騒音・低振動であることや、埋設および撤去が安価であり、ZEBやZEHの省エネでも有力な手段となります。
4.今後の地中熱事業
回転杭利用だけでなく、今年度からは井戸水や未利用熱(温泉排湯などの熱)を用いた地中熱事業を行えるように各種実証を行っていきます。ZEB、ZEHはもちろんのこと、工場や農業ハウスや水産物養殖などの農林水産業でも利用できる井水・未利用熱利用の事業を行っていきます。
*1 新協地水(株) 工事部 *2 新協地水(株) 総務部(土と水編集長)