◆震災から復興へ。 代表 吉田健のストーリー。
私は、両親がもともと葛尾村と田村市で畜産業を営んでおり、自分も18歳の時から牧場経営に関わってきました。東日本大震災当時は、牛1,200頭規模の牧場でした。
2011年3月11日に大震災と原発事故が発生し、3日後の3月14日には葛尾村全域に避難指示が出されましたが、大切な牛たちを残して自分たちだけ避難することはできませんでした。
震災当時、村にいた家畜は一定の期日までに売却や移動ができなければ殺処分の対象となる状況でした。そのため、葛尾村の農場にいた400頭の牛については、急いで出荷可能な牛を出荷し、残りの牛を田村市の農場へ避難させました。また、葛尾村にいた多くの畜産農家さんたちの中には、牛を避難させられる場所がない人も多く、何とか牛を預かってほしいという願いを受け、私たちは26軒から180頭を受け入れましたが、それでも行き場のない牛をすべて助けられたわけではありませんでした。
結局自分たちが葛尾村を出たのは6月頃でした。村で最後の1頭をトラックに乗せて振り返ると、ガランとして何もない牛舎があり、それを見て悔しくて、「必ず戻ってくる」と決意しました。
そして2016年6月に村の避難指示が解除されると、父の牧場を離れて「株式会社牛屋」を設立し、葛尾村でゼロから畜産を再スタートしました。土地探しから始め、畜舎を建て、最初の牛3頭を購入したのが2018年夏でした。
◆新たな挑戦の数々
株式会社牛屋として、黒毛和牛の飼育を主軸にしつつ、新しいことにも挑戦したいと考え、羊の飼育も始めました。黒毛和牛の肥育技術を応用した独自の方法で羊を育てることで、これまでにない上質な肉質の羊肉「メルティーシープ」の生産を可能にし、葛尾村の特産品として評価していただけるようになりました。また、自社ブランド肉の加工業務も新たに始め、安心安全で美味しい食肉を消費者の皆様へお届けすることを目指しています。
◆黒毛和牛の技術で育てたブランド羊「メルティーシープ」
「メルティーシープ」は、黒毛和牛の飼育技術を応用して育てた自社ブランド羊で、羊肉とは思えないほどの柔らかさと臭みの無さが特徴です。黒毛和牛と同様の高品質な飼料を使用し、一般的なラム肉よりも長い時間をかけてじっくり丁寧に飼育することで、より深くまろやかな味わいを追求しています。メルティーシープの甘くとろける脂と、適度にサシの入った赤身が調和した極上の味わいは、羊肉の専門家たちから「羊肉の概念が変わるほどだ」と最高の評価を得ています。
また、「メルティーシープ」の羊毛から抽出した純国産羊毛ケラチンのみを使用した、日本初の化粧品「VALOMETZ(ヴァロメッツ)」の販売も始めるなど、常に新しいことへの挑戦を続けています。
前述の株式会社 牛屋さんで肥育されているメルティーシープを頂きたく、生産者の吉田さんに尋ねると「福島県ではこちらだけ卸しています」というお店がジンギスカン誠郡山店さん。郡山在住ですので、
これは行きやすいぞ。すぐに食べてみたいと訪店。
メルティーシープとオーストラリア産のラム、マトンを注文し味比べ。メルティーシープはほのかに甘味を感じるなんともまろやかな美味しさ。いくらでも食べられるすっきりとした後味。羊特有の臭みが少ないので、どなたでも食べやすい。羊肉は脂肪の吸収が他の畜産肉と比べて少なく、体にもいい。また近々お邪魔します。
現在、メルティーシープの入荷数量が限られており、事前にお問い合わせしてからの訪店をおすすめします。
阿部 睦美*
所在地/〒963-8053 福島県郡山市八山田西3-408
TEL.024-954-4610
定休日/毎週火曜日
営業時間/
月、水〜金:ランチ 11:00〜15:00(ラストオーダー14:30)
月、水〜金:ディナー 17:00〜22:00
土日祝:11:00〜22:00
*新協地水(株) 総務部(土と水編集長)