工事報告
エアハンマー工法の改良
工事部
郡司武律
工事部
八代武彦
1.はじめに
単体ハンマー掘削工法で施工した抑止杭工事(H鋼建込)の現場において改良した点及び今後改良すべき点について述べる。
2.工事概要
工事名
:
急斜面地崩壊対策事業に伴う抑止杭工事
工事場所
:
山梨県地内
工事内容
:
抑止杭建込
掘削径φ300mm以上
H鋼56本(200×200×6000)
使用機械
:
ウェルディグマン・エアコンプレッサー・エアハンマー(NDH-220)
拡幅ビット(スーパージョーズφ335mm)
チューブロッド(φ216mm)
当初エアコンプレッサー(10.5kg/cm
2
15m
3
/min)1台で掘削していたが、スライムが上がらずビットの上に被ってエアハンマーが上がらなくなってしまった。そのため急遽エアコンプレッサー(7kg/cm
2
20m
3
/min)を1台追加し、2台を連結して掘削した。
エアコンプレッサーを2台に増やしたことで、多少はスライムが上がるようになったが、追加した1台が低圧タイプであったことと配管長が約200m以上と長かった為、思ったほどエア量が増えず、ブローしても孔内にスライムがかなり残ってしまった。
また、掘削径がφ335mmでチューブロッドの外径がφ216mmだったため、孔壁とのクリアランスが約60mmと広く、上がりきらないスライムが壁のようになってしまい、掘削径を確保するためにエアハンマーを何回か上げ下げすることがあった。
対策として
エアコンプレッサーを高圧タイプ及び低圧タイプ各1台から、同じ高圧タイプ2台に入れ替え、連結する部分を従来のチーズから専用のY字の連結管を製作して取り付けた。
チューブロッドはロータリーでのスタビライザーのようにはねを付け、ビットで掘削した後にリーミングを行うようにした。
エアハンマーとチューブロッド接続部のφ90mmロッドにカバーを付け、段差を無くしてスライムを上がりやくすした。
その結果
当初1.5〜2本/日のペースで掘削していたのが4本/日のペースとなり、工期内に終わらせることができた。
3.今後の改善点
今回の掘削に伴うトラブルの原因は、スライムの上がりが悪く、ビットの上に被ったり詰まったりしてエアハンマーが叩かないことであった。
今後、迅速かつ適切に掘削できるように掘削ツールについて考えてみた。
掘削径がφ335mm、チューブロッドの外径がφ216mmであったので、孔壁とチューブロッド間の環状部の断面積が約0.0515m
2
、エア量は約30m
3
/min、環状部の平均流速は約582.5m/min(9.7m/sec)となる。
シングル掘削で必要な環状部の平均流速は1000〜1500m/min(16.7〜25.0m/sec)なので、流速が速くなるようにチューブロッドをφ267.4mmの太いものにした場合、断面積は約0.032m2なので平均流速は約937.5m/min(15.6m/sec)となる。
孔壁が崩壊すると詰まってしまい、最悪の場合ハンマーが叩かなくなりジャミングしてしまうことがあった。対策として今回は2箇所にはねを付けたが、ビットの上からチューブロッド全体にはねを付けて孔壁とのクリアランスを確保する。
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