福島県の湧水シリーズ(その20) |
(1)降雨等により地表から雨水や融雪水が地下浸透する。 |
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(2)地下浸透した天水は不透水層である地すべり面以深には浸透しにくい。すなわち地下水面は「砕屑物」層内にあると判断される。 |
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(3)地下水面は不透水面であるすべり面の傾斜にそって流下し、地すべり頭部に形成された窪地から地表に一部湧出する。 |
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「鴨沼」が形成される。 |
図2 地すべりの模式図 |
(1) |
冠 頂 | 滑落崖上部の原地盤の部分。滑落崖に平行な数条の引張亀裂が見られる。 |
(2) | 滑落崖 | 地すべり地の最上部に現れる比較的急峻な崖面。馬蹄型をなすことが多く、条痕がついていることもある。 |
(3) | 頭 部 | 移動層の滑落崖に沿った部分。多くの場合窪地になっており、池や沼、湿地体が多く見られる。 |
(4) | すべり面 | 移動層と原地盤との境界。ベントナイトなど粘土層を伴うことが多い。 |
(5) | 脚 | すべり面下端と原地盤との交線。普通は崩土に覆われて見られない。 |
(6) | 舌 部 | 脚より下方の移動層。先端が隆起している。 |
(7) | 舌端部 | 先端のこと。 |
採水地点 (採水時間) |
鴨沼流入水 (10/31 15時00分) |
鴨沼オーバーフロー (10/31 15時30分) |
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水温(℃) | 8.5 | 9.0 | ||
pH | 7.06 | 6.94 | ||
電気伝導度 (μS/cm) |
53.6 | 54 | ||
測定項目 | mg/L | me/L | mg/L | me/L |
硝酸イオン (NO3-) |
2.2 | 0.035 | 0.4 | 0.006 |
塩素イオン (Cl-) |
1.9 | 0.054 | 1.8 | 0.051 |
硫酸イオン (SO42-) |
3.5 | 0.073 | 2.3 | 0.048 |
炭酸水素イオン (HCO3-) |
23 | 0.377 | 28 | 0.459 |
ナトリウムイオン (Na+) |
3.0 | 0.130 | 3.0 | 0.130 |
カリウムイオン (K+) |
1未満 | 0.013 | 1未満 | 0.013 |
マグネシウムイオン (Mg2+) |
0.8 | 0.068 | 0.9 | 0.074 |
カルシウムイオン (Ca2+) |
2.7 | 0.135 | 3.0 | 0.150 |
※水温、pH、電気伝導度は現地での簡易分析である。 ※イオン当量は、イオン濃度を原子量で除したものである。 |
領域 | 組成による分類 | 水の種類 |
I | 重炭酸カルシウム型 Ca(HCO3)2型 |
Ca(HCO3)2 Mg(HCO3)2型の水質組成で、わが国の循環性地下水の大半がこの型に属する。石灰岩地域の地下水は典型的にこの型を示す。 |
II | 重炭酸ナトリウム型 NaHCO3型 |
NaHCO2型の水質組成で、停滞的な環境にある地下水がこの型に属する。したがって、地表から比較的深い地下水の型といえる。 |
III | 非重炭酸カルシウム型 CaSO4又はCaCl2型 |
CaCl2又はCaSO4型の水質組成で温泉水・鉱泉水および化石塩水等がこの型に属し、一般の河川水・地下水では特殊なものであり、温泉水や工業排水等の混入が考えられる。 |
IV | 非重炭酸ナトリウム型 Na2SO4又はNaCl型 |
Na2SO4又はNaCl型の水質組成で、海水および海水が混入した地下水・温泉水等がこの型に属する。 |
V | 中間型 | I〜IVの中間的な型で、河川水・伏流水および循環性地下水の多くがこの型に属する。 |
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