ボリビア便り第2号 「真夏のサンタさん」

放射線の基礎知識

○放射線の発見
1895年レントゲン博士により発見。→『レントゲン写真』等の語源

○放射線は物質に作用して『電離』を起こします。
 放射線が物質の中を通過するとき、その物質に対して、持っているエネルギーを与えます。『電離』とは、空気や水・生物の体などに当たったとき、これらを構成している原子から電子をはじきとばす作用をいいます。この『電離』が細胞、正確には遺伝子を傷つけ、がんなどを誘発します。




ヨウ素:ベータ線・ガンマ線を出す。
 生物学的半減期が短い。福島第一原発の1回目の爆発が3月12日で、その後も含めて3回の爆発が起こっているが、それ以降本日までに大規模な爆発は発生していないため、3ヶ月経過した現在、ヨウ素に関しては、体に及ぼす影響はほぼ無いと考えられる状況である。
137セシウム・134セシウム:ベータ線・ガンマ線を出す。
 半減期は30年と2年のため、今後、私達の体に影響を及ぼす可能性がある。体内では特に筋肉(カリウムなど)と同じ性質を示すので、全身に分布する。
90ストロンチウム:ベータ線を出す。
 半減期は28年。生物学的半減期は、骨に沈着するため、容易に移動しない。
 将来的には骨のがんにかかる恐れがある。
 90ストロンチウムが世間で話題・問題になるとやや危険な状況。
 現時点では、あまり出ていないので、あまり心配しなくて良い。

※半減期とは・・・
(ここでは、物理学上の半減期を指します。他には『薬学上の半減期』もあります。)放射性物質が放射線を出す能力(放射能)が元の半分になるまでの期間のこと。時間が経つと放射能が弱まり、半減期で元の半分になります。さらに時間が経つと、半減期ごとに放射線の量が2分の1になっていきます。放射性物質によって期間は大きく異なります。
※生物学的半減期とは・・・
生体に取り込まれた放射性物質、重金属、毒物などの半量が代謝されたり排泄されて、体外に排出されるまでの時間。


【放射線を表す単位】
Sv(シーベルト)・・・人が放射線を浴びたときの影響度を示す単位。
1Sv(シーベルト)=1,000mSv(ミリシーベルト)=1,000,000μSv(マイクロシーベルト)
1mSv=1,000μSv
Bq(ベクレル)・・・放射能の強さを計る単位
1秒間に1つの原子核が崩壊して放射線を出す放射能の量が1Bq。

放射線防護の3原則

 普段、日常の業務の中で行っている。この3原則はみなさんも忘れないようにして下さい。
(1)距離
 放射線の線源から離れる。
 距離を置くことによって、体に受ける線量はかなり少なくなる。
(2)時間
 放射線を受ける時間が短ければ、影響は少なくて済む。
(3)遮蔽
 物を使って、体に入ってくる放射線をブロックする。
 放射線科では、鉛プロテクターを着用している。

上記を生活の中で役立てるには・・・
(1)線量計で自宅付近を計測し、側溝や水溜り等の線量が高い場所には近づかない。
(2)例えば 郡山市より線量の低い、南会津などへ行く。そこで1週間滞在(林間学校・サマースクールなど)することで、年間の積算線量が減るため、被曝が少ない。
(3)室内で過ごす時間を多くする。自宅やコンクリートの建物内で活動する。


【国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告】
 1928年設立。事務局所在地スウェーデン。最新である、2007年の勧告において、公衆被曝限度(病院で放射線を扱う職業、原発に携わる職業等の人々以外の人)を20ミリシーベルト以下/年間と定めた。

【積算線量の算出】
例 1時間当たり1.8μSv(マイクロシーベルト)
  放射線量だとして、
  1日24時間では、1.8×24h=43.2μSv/日
  1年365日では、43.2×365日=15768μSv/年間 (15.768mSv)


がんのリスク 
 放射線と生活習慣(国立がん研究センターの資料から)相対リスク値は、例えば喫煙者と非喫煙者のがんの頻度を比較した値です。




追記 放射性物質とヒマワリ
 放射性物質による農地の土壌汚染を減らすためにヒマワリなどは効果があるのか、農水省が9月14日、実証実験の結果を公表した。
 農水省によると、実施した複数の実験のうち、ヒマワリなど植物が育つ過程で放射性物質を吸収させる方法は、ほとんど効果が認められなかった。
 一方、5000ベクレル以上の高い濃度の放射性物質に汚染された土壌の場合、ブルドーザーなどを使って表面を取り除く方法が最も効果的で、約75%を取り除くことができたという。しかし、この方法では汚染された残土が大量に発生するため、農水省は、土から放射性物質だけを取り除く方法を引き続き検証する方針。





※新協地水(株) 技術部



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