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代表取締役社長 佐藤 正基 (RCCM 土質及び基礎) |
福島県の太平洋側には、宮城県南部から茨城県北部の八溝山地まで南北に連なる阿武隈山地があります。阿武隈山地は準平原と呼ばれる老年期の山に当たり標高400〜1,000mとなだらかで、主に花崗岩を基盤に形成されています。阿武隈山地の浜通り側は、気候も温暖であるため山容は穏やかな雑木林に覆われ、冬でも積雪が少ないことから、冬から春にかけての厳冬期が私にとっての登山シーズンとなります。浜通りの山々の中でも、特に双葉の山々は郡山からの交通の便もよく、冬の澄んだ空気は太平洋の雄大さをいっそう引き立てる大展望台となることから、私にとって大好きな山のエリアです。今回は、双葉の山々より訪れる回数も多い、大熊町の日隠山(標高602m)と葛尾村の五十人山(標高883m)の山行を紹介します。なお、現在福島第一原発の事故を受け大熊町は警戒区域、葛尾村は計画的避難区域に指定をされています。私にとっても、大好きな双葉の山々を弊社発行の「土と水」に掲載することで記録にとどめたいという思いで、今回選定をさせていただきました。被災にあわれたすべての地域の復興を祈念するとともに、被害を受けられました皆様に心よりお見舞いを申し上げます。![]() 前日は久しぶりに社内の飲み会があり若干二日酔い気味、予報では快晴とわかっていてもなかなかベッドから出ることができない。「晴れているよ」との大きな声で起こされ、相棒の希望で「リフレ富岡」の温泉を最終目的として大熊町の日隠山へ。坂下ダム管理事務所から1kmほど行ったトイレが整備してある登山口へは11時を過ぎて到着、他県の車を含め駐車台数は7〜8台。この時期、太平洋の大海原が見渡せる展望のこの山は、本当に人気のある山だ。準備を整えスタートすると、登山道に入る直前で下山をしてきた老夫婦とすれ違う。「今日はものすごい展望だよ」との言葉に、ついつい胸が高なり笑顔で答えてしまう。また、この登山道にはいたるところに地名の由来が書かれた標識があり整備された道となっている。最初は急な杉林の道となっており、坂がきつく馬も悲鳴をあげたという「啼き啼き坂」であるが、25分ほどで開放的な雑木林の道「坂の上の道」となる。「坂の上の道」の標識には旧会津街道で「塩の道」だったと記載をされており、普段歴史に無頓着な相棒も熱心に説明文を読んでいた。雑木林には明るい陽射しが差し込み、2月中旬というのに春の気配がすぐそこまで感じられ体も心もポカポカと温まる感覚となる。雑木林から素晴らしいモミの群生林へと変化をする道を満喫しながら進むと土塁が高いまっすぐな尾根道となり、以前は春になると、一面を山桜が覆っていたという「桜窪」に着く。さらに素晴らしい針葉樹の林を進むと林道と交差し、左に林道を見ながら緩やかに登ると、「参詣清水」となる。ここは山頂への分岐点となっており、いつも通り南回りで頂上を目指すこととする。 ![]() (登り1時間30分,下り1時間) ★五十人山(標高883m)2010年12月18日 前日は会社の忘年会、経済の悪化に頭を痛めて愚痴を言っても仕方が無い、澄み切った冬晴れの中、太平洋の展望が得られる葛尾村の五十人山へ。国道399号より葛尾中学校手前の林道を左折すると、まもなく西の内登山口の案内板がある大きな駐車場に到着する。午前10時45分に準備を整え足早にスタートする。登り始めはアカマツ林の中、整備された階段状の道を緩やかに登って行くが、登るにつれ雑木林となり冬枯れの中、暖かい陽射しが差し込んでいる。整備された登山道には二合目から九合目まで道標があり、容易に自分の位置を確認することが出来る。六合目を過ぎると、東屋があり休憩にちょうど良い場所となっており、山頂が寒くて食事が出来ない場合など度々利用させていただいている。しかし、今日は穏やかで山頂でゆっくり休めそうだ。東屋を過ぎると雑木林の中に、アセビが多くなってくる。周辺の雑木林が冬枯れで茶系色に染まっている中、常緑低木であるアセビは、木漏れ日を葉に集めきらきらと光を放っている。アセビに混じって浜通り特有の細いブナが生い茂ってくると山頂は近い、九合目を過ぎ緩やかに左にカーブすれば、五十人山の広場へ到着する。五十人山は双耳峰であり、山頂には南側と北側にピークをもっている。ピークの間は芝生を敷き詰めたような広場となっており、この広場から眺望する竜子山の風景がお気に入りのひとつとなっている。先ずは、南側二等三角点があるピークへ。登り始めて1時間8分の午前11時53分に到着する。展望は本日も言うことなし、東を見れば遠く太平洋に浮かぶ船を見渡すことが出来、西を見れば常葉の鎌倉岳を望むことができる。食事の場所として北側ピークへ移動、ここには坂上田村麻呂を祀った祠と大きな岩がゴロゴロしている。風が凌げる場所を探して、暖かい焼きそばを作って心からか温まることに。下山は、通年を通して登山者が少ない湯ノ平口を経由して林道を西の内登山口へ。 (登り1時間8分,下り1時間)
※新協地水(株) 代表取締役 |
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