カレーは家で作って食べるもの･･･と思っていたオーナーの門澤さんが、ナンで食べるカレーに出会ったのは15年程前、当時、東京の大学に進学していた息子さんを訪ねた時のことでした。それまで味わったことが無かった本場のインドカレーとナンの美味しさに驚きました。その時の味が忘れられず、いろいろと食べ歩きましたが、県内であの時の味に巡り合うことはありませんでした。
　その後、時が過ぎ、門澤さんが長らく勤めていた会社を退職した頃、インドカレー店開業のお話があり、2009年にインド人のシェフを迎え、郡山市台新にお店を開くことになりました。開店当初はいろいろありましたが、徐々に軌道に乗り、常連さんもついてきた頃、あの震災が起きました。連日の報道を見て、身を案じたインドの家族から、毎日泣きながら電話がかかってきていました。もしかしたら、もう福島には戻って来てくれないのでは･･･という不安はありましたが、インドの家族を安心させるため、一旦、シェフ達は帰国。シェフ達が帰国している間、お店はカレーの種類を絞り、窯は素人では扱いが難しかったため、ナンの替わりに、フライパンでも焼けるチャパティを新たなメニューとしました。そして一々月後、約束通り彼らは戻って来てくれました。その後、お店がだんだんと忙しくなってきたこともあって、開業時から支えてくれていた旦那さんに代わって、2014年から娘さんが加わりました。また、縁あって、昨年（2015）10月に、今の場所に移転しました。
　さてさて、本題のカレーやナンに移ります。もちろん化学調味料は一切使用していません。スパイスは商社を通じ本場の物を仕入れていますが、その他の小麦粉や卵、牛乳やバターなどは国産の厳選したものを使っています。これはシェフ達から、スパイスはともかく、その他の材料は日本の物を使った方が美味しく出来るからという意見を取り入れてのことです。カレーはベースが7種類で、材料の組み合わせによって22種類ほどありますので、好みを伝えてくれれば、門澤さんがその人にあったものをおすすめしてくれます。辛みも4段階ありますのでお好みの辛さに調節してくれます。

　ササキのおすすめは、ロイヤルインドスペシャルランチ950円（写真7）です。2種類のカレー、ナンとサフランライスまで付くよくばりなセットです。ぜひ、ナンのひとちぎり目はそのまま食べてみて下さい。何も付けなくても美味いのです。生地の薄いところはパリッとして香ばしく、厚めのところはモチっとしています。サラダのドレシングには、日本人の発想にはない隠し味（果物）が入っていますので、当ててみて下さい。窯で焼かれたタンドリーチキンもふっくら香ばしく仕上がっています。ランチタイムには、ドリンクが150円で付けられますので、本場の味ラッシーやチャイ（アイス）をつけるのもおすすめです。