1.はじめに
今回は阿武隈山地南部の三か所の湧水を尋ねました。阿武隈山地北部は広く花崗岩が分布するのに対して、南部では変成岩が広く分布しています。今回の湧水はこの変成岩からもたらされたものです。変成岩は阿武隈変成岩(竹貫−御斎所変成岩)とよばれ日本列島の形成史を解明するうえで重要な地質体となっています。かつて、この変成岩は先カンブリア時代に広域変成作用を受けその後白亜紀に貫入した花崗岩により接触変成作用を受けたとされていました。しかし、現在では年代がぐっと若くなり御斎所変成岩の変成チャートからジュラ紀放散虫が産出することや竹貫変成岩中のジルコンの変成年代が白亜紀であることなどから、両者は付加体として形成され、ジュラ紀末から白亜紀の初めにかけて変成岩になったとされています。変成岩には馴染みがない方も「鮫川石」はご存知かと思いますが、これは御斎所変成岩の岩石です。 2.湧水への案内と湧水の状況 いわき市から県道14号(御斎所街道)を西へ進み、上遠野を過ぎて皿貝トンネルを抜けると田人町に至る県道134号との交差点になります。そこを左折し南下します。田人支所の手前で県道71号(勿来浅川線)へ右折、すぐに「貝泊の名水 耕土の清水」の標識が目に入ります。道なりに71号を10数km北西方向に進むと標識(写真−1)が道路左側にあります。
長寿の強清水 耕土の清水から県道71号をさらに西へ進み、古殿町との境界を越え、富士山が見える三株山の麓を過ぎると県道134号との三差路に出ます。右折して北上すると大原(だいばら)で県道14号(御斎所街道)と交差します。そこを左折し古殿町の中心街へ向かいます。さらに進み古殿町役場の標識を左折します。鮫川の橋を渡ると庁舎があり、道路は林道(石井草・大作線)へ続きます。途中道幅は狭くなりますが、舗装された走りやすい林道をグングン登っていきます。鎌倉岳八合目大作山登山口駐車場の奥に目指す湧水「長寿の強清水」があります。
延命の清水 御斎所街道大原交差点を北へ進み、大久田川に沿って県道135号を北上し、各所にある「越代の桜」の表示を辿って一路越代へ向かいます。越代の桜から約800m東に湧水があります。
3.湧水の水質
4.さいごに いずれの湧水も道路のすぐ脇にあって採水地が分かりやすく、地元の人々の手できれいに整備されていています。多くの方が地域起こしや地域の資源として湧水を活用させたいと行動されており、この思いを強く感じることができました。
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