
まず、開店の経緯を聞いて驚きました。一見すると、頑固で無口な料理人と、威勢がいいお弟子さん、ホール担当のお姉さんで営業されていると思いきや、実は、本業(飲食業では無い)の会社があって、その会社の新たな事業展開の第一歩として始められたお店だそうです。会社では、社長と営業部長の立場のお二人、いつか飲食業もやってみたいと、かねがねお話していたそうです。そんな中、本業の営業先の埼玉で、お昼に立ち寄った肉汁うどん*の美味しさに感銘を受け、福島にはまだ無いこの味を広めたいと、開店を決めました。
さて、それでは開店を決意した肉汁うどん、こだわりがつまっています。粉は試行錯誤の結果、小麦の香り、コシの強さから長野県産の物を取り寄せています(写真2)。冷うどんと温うどんでは配合を変えており、温うどんにはこの他に全粒粉が加えられています。仕込みは、前日に生地を打ち熟成させ、当日、専用の機械(写真3)で、ゆっくり製麺します。このゆっくり切るのがみそとのこと。肉汁は、特製の醤油に、数種類の野菜からとられたスープ、豚バラ肉、牛バラ肉、オリジナルのチャーシューが加えられることによって、濃厚な肉汁となり、さらに刻み油揚げ、2種類のネギ(ぶつ切りと刻み)と、具だくさんです。つるつるのうどんによくからむ様に、汁は濃い目になっていますが、割スープも用意していますので、お好みの濃さに調節できます。うどんを食べ終わった後に、汁も味わって欲しいなと開店してまもなく、希望の方に割スープをつけることになりました。もう1つのおすすめを紹介しましょう。開店にあたり『まとや』オリジナルメニューとして、社長が考案した釜揚げチャーシューぶっかけ(写真5)です。熱々の釜揚げうどんに熱い汁がかけられその上に、キャベツ、刻みネギ、そして自家製のチャーシューが5〜6枚ものって、肉々しいメニューです。うどんにチャーシュー?と、お思いになった方もいると思いますが、これがなかなか合います。ありそうでなかった発想ですよね。その他のメニューの醤油うどんと温かけうどんは、シンプルですが、うどんの美味しさを味わえるメニューとなっていて、更に、お財布に優しい値段設定となっています。これは、お店近くの高校生に1コインでお腹いっぱいになってもらいたいという思いで設定したそうです。
 ササキのおすすめは、やはり看板メニューの肉汁うどん(写真6)ですね。うどんに添えられたキャベツと、油揚げがいい仕事しています。これはササキの自論ですが、油揚げが入ることによって、肉の存在感に隠れてしまいそうなダシの旨味を引き出しているのではと思っています。それから割スープ、蓋をあけて匂いを嗅いでみて下さい。野菜のいい香りがしますよ。
これは、取材中、ササキの鼻で嗅ぎつけた情報なのですが、学生さんにだけ裏メニューが存在するそうです。1日10食限定のカレーうどん、うーむ、学生がうらやましい。もしかしたら、いつの日か定番メニューになる日がくるかも・・・、ということでした。
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