田んぼの窪地にあるコンクリートの井戸から、水がチョロチョロと流れ、そこにはコケやクレソンといった湿地特有の植物があります。井戸は、直径1.38m、深さ1.68mほどです。井戸の底には、飴玉大(径2〜3cm)の黒い玉砂利が敷き詰められており、コンクリート製の井がわの上部には1/4円球状の蓋がかぶせられています(写真(1))。
この井戸の湧水は、水道ができる前まで、生活用水として共同で使われていたそうです。家は大抵高いところにあるので、水を運ぶことは大変なことでした。
写真B 永畑集落の湧泉と水道工事記念碑
文殊山の沢水はほとんど流れておらず、谷はちょっとした湿地となっているだけです。水道の水源は山の中腹にある、沢の源頭部に大きな穴を掘り、集めた水を配管で各家庭に送水しているようです(写真(2))。ここの水温、pH、電気伝導度を測ってみますと、水温11.0℃、pH=6.52、Ec=104.0μS/cmでした(2000年3月3日測定)。ここの水源地は、風化層と上流側の岩盤との境界部になっていることから(地形勾配の変換点ともなっている)、地下水が集まりやすいと考えられます。
文殊山の頂上には、安倍文殊菩薩堂があり、「合格祈願」の神様として祀られている「安倍菩薩」が奉納されています。その文珠山の北西のふもとにある清涼寺入口に、湧泉があり、生活用水や参拝者の飲料水として利用されています。大きな桜の木(樹齢200年以上)の根元にある湧出点には井戸をかたどった囲いに屋根がつけられ、竹を縄でとおして作った蓋がかけてあります。湧水は、φ50mmの塩化ビニールパイプで配管され、一部は側溝へと流れ、井戸とまちがえてしまいそうです(写真(3))。
写真C 文殊堂の麓、清涼寺の湧泉
写真D 文殊堂の彫刻
写真E 文殊堂の絵馬
ここで湧水地付近の地形図を眺めてみます。| 採水場所 | 永畑の湧水 | 永畑の水道水源地の湧水 | ||||
| 水温、pH 電気伝導度 |
12.1℃、pH=6.49 350μS/cm |
10.4℃、pH=6.52 104μS/cm |
||||
| 検査項目 | mg/リットル | me/リットル | % | mg/リットル | me/リットル | % |
| カルシウム(Ca |
38 | 1.90 | 59 | 8.7 | 0.43 | 47 |
| マグネシウム(Mg |
7.8 | 0.64 | 20 | 2.1 | 0.17 | 19 |
| ナトリウム(Na |
14 | 0.61 | 19 | 6.5 | 0.28 | 31 |
| カリウム(Ka |
2.4 | 0.06 | 2 | 1.2 | 0.03 | 3 |
| 陽イオン総量 | 62.2 | 3.21 | 100 | 18.5 | 0.91 | 100 |
| 炭酸水素イオン(HCO3 |
85 | 1.39 | 53 | 45 | 0.74 | 80 |
| 塩素イオン(Cl |
8 | 0.23 | 9 | 4 | 0.11 | 12 |
| 硫酸イオン(SO4 |
47 | 0.98 | 38 | 4 | 0.08 | 8 |
| 陰イオン総量 | 140 | 2.60 | 100 | 53 | 0.93 | 100 |
| 硝酸イオン(NO3 |
41 | 0.66 | 1.2 | 0.02 | ||


| 領域 | 組成による分類 | 水の種類 |
| I | 重炭酸カルシウム型 Ca(HCO3)2型 |
Ca(HCO3)2 Mg(HCO3)2型の水質組成で、わが国の循環性地下水の大半がこの型に属する。石灰岩地域の地下水は典型的にこの型を示す。 |
| II | 重炭酸ナトリウム型 NaHCO2型 |
NaHCO2型の水質組成で、停滞的な環境にある地下水がこの型に属する。したがって、地表から比較的深い地下水の型といえる。 |
| III | 非重炭酸カルシウム型 CaSO4又はCaCl2型 |
CaCl2又はCaSO4型の水質組成で温泉水・鉱泉水および化石塩水等がこの型に属し、一般の河川水・地下水では特殊なものであり、温泉水や工業排水等の混入が考えられる。 |
| IV | 非重炭酸ナトリウム型 Na2SO4又はNaCl型 |
Na2SO4又はNaCl型の水質組成で、海水および海水が混入した地下水・温泉水等がこの型に属する。 |
| V | 中間型 | 1〜5の中間的な型で、河川水・伏流水および循環性地下水の多くがこの型に属する。 |
| 引用文献 |
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