福島県の湧水シリーズ |
谷藤允彦※
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1.湧水の案内
県道12号線を南相馬市役所から東に向かい、常磐線のオーバーブリッジを渡って2kmくらい進むと前方に国道6号線の交差点が見えてくる。ひとつ手前の運動公園の表示のある交差点を左折すると、道路は下り坂になり、両側はブロック積擁壁が段々になっている。坂道の一番下の擁壁の角に塩ビ管から勢い良く水が吹き出ている。ここが山田氏宅からの湧水である。また、この角を左折して西に少し行くと山田氏宅の駐車場の脇の崖数箇所から少量の湧水があり、それを集めた水路が池につながっていて、わさびなど冷たい湧水を好む植物が繁茂して涼しげな景観を演出している。更に運動公園のフェンスにしたがって西側に進むと、100mほどで三嶋神社の鳥居と参道があり、その先に水汲み場が2箇所整備されている。
2.地下水の湧出機構
低位平坦地と段丘面を境する崖地には軟質の泥岩が露出している。この泥岩は、仙台層群の大年寺層最上部のものである。仙台層群は、宮城県南部から福島県中部の太平洋岸に広がる丘陵地を形成しているもので、鮮新世(500〜800万年前ころ)の浅い海に堆積したものと考えられている。
3.水質について
山田宅角の湧水(No.1)、山田宅駐車場の湧水(No.2)、運動公園の湧水(No.3)について、主要イオン及び放射性ヨウ素・セシウムの分析結果を表−1に示す。
主要イオンのデーターをヘキサダイアグラム及びトリリニアダイヤグラムにプロットすると図−2及び図−3のようになる。3箇所の湧水は、いずれも非常に似たイオン組成を示し、湧水の供給源は同一のものとみなすことが出来る。トリリニアダイヤグラムでは、3地点ともVの中間型領域にプロットされ、この湧水が循環型の地下水であることを示している。 なお、陰イオンの中で、硝酸イオンの数値が高くなっているのが気がかりである。20mg/
※新協地水(株) 代表取締役会長 |
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