第四回技術研究発表会 社長賞
原価速報(労務費)のエクセルを使った合理化(試案)
総務部  三浦 裕美

1.はじめに
写真  今までは原価発生の基本となる購入伝票、払出伝票、車両管理、日報などをリコー製のマイツールコンピューターに入力をして、その集計したものと請求書を経理ソフトに再入力して、初めて正確な原価速報が伝わるというシステムでした。つまり、同じ事項を原価管理集計に入れ、さらに経理ソフトに打ち込むという、二度手間で非能率的な集計事務でした。
 昨年度、当社OA委員会で応研製の「大蔵大臣建設版」という建設業専門の経理・原価管理ソフトを選定し導入しました。
 選定理由の第一は、経理・原価の一元管理による前述の二度手間を省くこと。第二は、ネットワーク対応の経理ソフトであること。ネットワークで各部門のコンピューターを結び、各部ごとに発生原価を直接経理ソフトに入力をすることで、作業能率をあげ、コストダウンをはかることを計画しました。
 計画選定時と異なり、現業部門が別の事務所に移転したことと、現場事務所の長期化など、原価入力と原価管理を利用する人たちの多くが本社外の勤務となりました。
 ネットワーク用の経理ソフトでしたが、本・支店間をつなぐ電話線を利用して先の経理ソフトを利用することができず、原価管理の能率向上は片手落ちとなってしまいました。
 現在は各部でエクセルに入力した日報一覧一週間分を、再度全社分、総務で経理ソフトに入力するという作業が現状です。それは約半日弱かかります。
 そこで、経理ソフトからエクセルなどの表計算ソフト用にデーターを変換してエクセル上で原価集計させることができるという機能にヒントを得て、その逆はできないものかと考えました。
 コンピューターのシステム管理をしている企画推進室の力をかりながら、日頃各担当者がエクセルで入力している日報集計表を直接経理ソフトに読み込む方法に関して次のようなシステムを考案してみました。

2.方法
 経理ソフトの機能である「伝票データー受入」を利用するために、まず伝票一行分の中身のファイルを作成します。それは経理ソフトの伝票記入時には現れない隠れた部分を含めて36項目あります。たくさんの項目のうち、通常伝票に入力する項目だけを、現場の担当者に入力してもらえれば良いのですが、常日頃慣れていた日報入力用の表から一転して横一列に並んだ36項目の長い表形式に変わり、各記入項目を画面上で探しながらの入力はコストダウンどころではなくなってしまいます。
 そこで詳細は省きますが、エクセルの中の「リンク貼り付け」機能や、余分な伝票出力を防ぐために計算式で「IF関数」などをもちいて、エクセル上で普段使っている日報記入表を記入しながら、背後で別のシートに自動的に、伝票記入用36項目の中の必要項目にデーターが入力されるように仕組みました。
 この仕掛けを入れた日報記入用エクセルシートを各部署に配布し、担当者はいつものように日報入力をして総務に日報データーを電子メールを利用して電話線経由で送ります。
 総務は各部から送られてきた電子メールの日報データーをチェックし、エクセルから経理ソフト「大蔵大臣建設版」が読み込むことのできるアスキーファイルに変換して、「伝票データー受入」で伝票化します。

3.まとめ
 今まで半日弱ほどかかっていた全社の二度手間が一気に解消され、試算すると一ヶ月に約2日の労務費コストダウンとなるはずです。



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