門松イラスト 2000年代の幕開けにあたって
新協地水株式会社 代表取締役 小松田精吉・谷藤允彦

西暦2000年、あけましておめでとうございます。
常日頃から、様々な形でご指導ご鞭撻頂いておりますことに対し、
衷心から感謝の意を表し、厚くお礼申し上げます。



 2000年という今年は、大きな時代の区切りでありますと同時に、私どもの新協地水株式会社にとって、創立25周年を記念する年でもあります。時代が変化する速度といい、多くの分野が複合する複雑さや多様さからいっても、10年一昔前とは比較にならない激動の時代となっております。こうした歴史の中で、社会の発展に少しでも貢献できるように、社員共々微力を尽くしたいと、改めて心に堅く誓ったところであります。
 21世紀は、どのように変化を遂げる時代なのか、見当もつかないことですが、少なくとも、『開発志向から環境共生志向』へと、一大転換を図るよう努力すべき課題を背負うた世紀だと考えます。20世紀の『大量生産・大量消費・大量廃棄』という方式が、一方では先進国の急激な経済発展をもたらしながら、他方では環境問題・南北問題や民族紛争など、新たに深刻な問題を生み出しました。地球に生を受けている一員として、また地球を相手に仕事をしている技術会社として深く反省し、地域社会における諸活動を通して地球環境の改善と、環境共生に力を尽くしたいと思います。
 一転して、足下に目を向けますと私どもの建設関連業界は、激動と苦渋の時代に入ったように思えてなりません。建設公共事業の過剰投資、無駄な工事発注などに対する国民的批判により、年々発注量が減少する一方、絶対的コストの低下現象が起こっております。こうした状況の中、昨年夏、千葉県において地質調査業を含む292社が公正取引委員会から、「談合」摘発による排除勧告を受けました。このことから多くの教訓を学び取り、21世紀を生き抜く理念と行動指針を確立することが大切だと考えます。
 生活基盤整備や社会資本整備のオーナーであり、受益者でもある国民や市民に対して、公正に、しかも環境共生のための技術を提供する企業をめざすことが、今まで以上に重要になってきました。このためには、地域市民にどれだけ貢献できるかを競い、そのための真の技術競争で企業間が切磋琢磨することが大事です。
 その一方で、各企業の特質を活かし、企業の独立性を尊重しながら協力共同を強め市民本位の技術が提供できるように、企業の共同化や協業化を保証する制度の確立が望まれます。いわゆる『談合』がなく、自由に『技術競争』ができ、市場競争至上主義の弊害からくる過当競争の渦に巻き込まれることのないように、現行の入札制度をはじめ中小企業の促進のための諸制度を抜本的に改善する必要があると考えます。
 21世紀は、中小企業の時代であると認識しております。例えば、ILOは中小企業を社会進歩の担い手と位置つけ、中小企業促進の一連の決議がなされています。1994年に発足させたOECDの先進国経済構造と経済政策の研究会は、EU諸国中小企業の成長が、GNPの源泉となっていることを実証的に報告しております。また、1997年に改正されたアメリカの「中小企業法」では、中小企業はアメリカ経済の主人公と宣言しました。このように、中小企業をめぐって世界が大きく動いています。私どもの経営環境がきわめて危機の状況にあるとき、一同に生き残るために、力の小さい者たちが大同団結して一同に生き抜く知恵と力を集合・結合させることが必須の課題であると痛感します。
 このために、私どもは、社員と一丸となって微力を注ぐことの決意を申し上げ、新年のご挨拶に代える次第であります。

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