圧密先行荷重(圧密降伏応力)
この本の圧密試験とその応用について記述されている内容に、「圧密先行荷重」の概念がとりあげられていない。圧密先行荷重の求め方は、1936年ハーバード大学で行われた第1回土質基礎国際会議にCasagrandeが提出した"The Determination of The Preconsolidation Load and its Practical Significance"という「討論文書」によって明らかにされた。「地質工学・土質試験法」を書いたこの本は、国際会議の翌年であるので、おそらくこの概念をよく理解して紹介するにはあまりにも時間がなかったのであろう。
もう一つ、圧密沈下時間を計算する方法が未だ未熟である。確かに、時間の関数として圧密沈下量を計算する式は、紹介されているが、これもかなり煩雑な式となっている。これも学問の発展過程の制約としてやむを得ないことであろう。だからといって、この本の先駆的な役割はいささかも過小評価されるものではない。